現在、住宅関連の施工(外壁修繕、屋根工事など)をご検討の方には、大きな理由がないのであれば、できるだけ早く施工に踏み切ることをお勧めしています。
これは「【善の外壁塗装】に依頼してほしい」という個人的な理由から言っているのではありません。
実は、外壁修繕や屋根工事など、住宅に関する施工費が、今、こうしている間も、どんどん高騰しているのです。
施工費は今後ますます高くなることが予想されますので、施工が遅くなれば遅くなるほど、同じ施工内容でも料金“だけ”が高くなるのです。
しかも、施工費の高騰には「円安」や不安定な「世界情勢」が絡んでおり、施工業者を変えれば安くなるというものでもありません。
とは言っても「いまいちピンとこない」という方も多いと思いますので、今回は住宅関連の施工費が高騰している理由を詳しくご説明します。
理由① 建設資材の高騰
できるだけ早く「外壁修繕」「屋根工事」に踏み切った方が良い理由として最初に挙げられるのが、建設資材の高騰です。
ウッドショックの影響もあり、現在国内では丸太や製材価格が高騰を続けています。経済産業省が発表しているデータを見ても、今回の高騰がいかに凄まじいかお分かりいただけると思います。
出典:経済産業省ホームページ
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20210719hitokoto.html
現在あらゆる建設資材が“右肩上がりの高騰”を続けており、短期間で倍近くになったものも珍しくありません。
高騰と一口にいっても、資材ごとに複雑な要因が絡んでいます。
木材、鉄鉱石、石炭、アルミニウム、銅、ニッケルなど、多くの資材を海外からの輸入に頼っている日本にとって、近年稀に見る円安、不安定な世界情勢(ロシアのウクライナ侵攻、新型コロナウィルスの蔓延など)、この2つの影響は非常に深刻であるといえます。
また、これらの要因は「今すぐ」どうにかできるものでもありません。つまり、これからも建設資材の高騰は続くのです。
資材高騰に影響を与えるウッドショックの原因
- アメリカでの新築住宅需要の増大
コロナ禍における住宅ローンの低金利政策や、リモートワークの増加で、家を建てる人やリフォームをする人が急増。木材不足になった。
- 製材工場の稼働率の低下
コロナ禍で製材工場の稼働率が低下
- コンテナ不足
コロナ禍でネットショッピングの利用者が急増。世界的なコンテナ不足に陥り、日本へ木材が届きにくくなった
- ロシアからの一部木材の輸入禁止
ウクライナ侵攻に対するロシアへの制裁措置の一環として、一部木材の輸入が禁止された
建設資材高騰の一例
主原料である鉄鉱石を100%輸入に頼っている鋼材や、後述するウッドショックが続く木材の高騰はいうまでもなく、照明機器や壁紙、サッシ、トイレ、ユニットバスルーム、キッチンなどの住宅設備も軒並み値上がりしています。
- 鋼材の4mパイプ:9,000円→16,000円
- 銅線1m:2,000円→5,000円
- シンナー1缶:2,500円→5,000円
- 1000番壁紙1㎡:1.200円→1,600円
- 照明器具:約15%UP
※金額はおおよその目安です
これら建設資材の高騰は、お客様に請求する施工費に反映されます。
例えば、先日フィットネスジムの施工を行ったのですが、3〜4年前であれば3,800万円程度で済んだものが、5,000万円近くかかりました。
もちろん、不当な利益を上乗せしている訳ではありません。資材高騰分を考えると、そうせざるを得ないのです。
理由②燃料の高騰
燃料の高騰には、すでに頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか?そう、ガソリンです!ガソリンの値上がりは止まるところを知りません。
そしてこの燃料の値上がりが「施工費高騰」に大きな影を落としています。
- 職人が施工現場への移動する際のガソリン代
- 建設資材を施工現場へ運搬する際のガソリン代
- 建設資材の輸入にかかる燃料費
などさまざまなところで燃料が使われているからです。
実際、善グループの燃料費もたった2ヶ月で【約10万円/月】上昇しました。
燃料高騰の主な原因
燃料高騰にも「円安」や「不安定な世界情勢」が関係しており、まだまだ解決する見通しは立っていません。
- ロシアのウクライナ侵攻
ロシアは世界第三位の石油産油国。ウクライナ侵攻に対する経済制裁などで、原油の供給が滞る懸念が高まっている
- 世界的な経済活動の再開
新型コロナウィルスの予防接種が進み、世界各地で経済活動が再開。原油需要が一気に高まった
- 円安
日本は原油のほとんどを海外から輸入しているため、円安が深刻な影響を及ぼしている
国も対策しているが、施工費の値上がりは免れない
ガソリンの高騰を受けて、国も動き出しています。
4月より、全国平均ガソリン価格が1リットル170円以上になった場合、 1リットルあたり5円を上限として、燃料油元売りに補助金を支給する「燃料油価格激変緩和対策事業」をスタートしました。
しかしこの事業は、ガソリンの小売価格の高騰を避けるための制度であり、引き下げるための制度ではないというのがミソです。
まだまだ燃料費の高騰による、施工費の値上がりは続くことが予想されます。
理由③ 2023年のインボイス制度の導入で、職人の単価が上がる
2023年10月にスタートする「インボイス制度」は、正式名称を「適格請求書等保存方式」といいます。インボイス(適格請求書)の発行により、消費税の仕入額控除を受けることができるという制度です。
この制度を、ものすごく簡単にご説明すると、これまで消費税の納税を免除されていた「売上1,000万円以下の個人事業主」でも、消費税を納税しなければならなくなるという制度となります。
塗装業界は、職人のほとんどが一人親方のため、この「売上1,000万円以下の個人事業主」に該当します。
つまり、インボイス制度により、多くの職人の手取りが消費税分の10%減る可能性が高いのです。
例えば、一人親方の職人がインボイス制度に登録して消費税を納税するようになると
- 年収500万円の職人は年収50万円減
- 年収600万円の職人は年収60万円減
こう考えると職人にとって非常に厳しい制度であることがお分かりいただけると思います。
そのため、職人は収入減分(10%)を補うために、自分の単価を10%程度上げることが予想されます。
実は、個人事業主は、「インボイス制度に登録せずこれまで通り消費税を納税しない」という選択をすることもできるのですが、その場合、仕事が減る可能性があります。
なぜなら、個人事業主が納税しない場合、個人事業主の取引先である課税事業者が、本来、個人事業主が支払うべき消費税分を実質負担することになるからです。
そのため、ほとんどの一人親方の職人がインボイス制度に登録すると考えています。
インボイス制度導入前の税務処理
- 個人事業主=施工を担当する一人親方の職人さんの多くがこれに該当
売上1,000万円以下の個人事業主は消費税の納税が免除されていました。
- 課税事業者=消費税を納税している職人さんの雇い主(【善の外壁塗装】のこと)
二重課税を避けるために、支払った分の消費税を自身の納税額から差し引くことができていました。例えば【善の外壁塗装】が消費税を納税する際、一人親方の職人さんに支払った消費税分を自身の納税額から差し引くことができていました。
インボイス制度導入後の流れ
課税業者にしか発行できない「適格請求書=インボイス」がなければ、消費税の仕入額控除(支払った消費税分を自身の納税額から差し引くこと)が受けられません。
↓
つまり、売上に関係なく個人事業主がインボイス制度に登録して課税業者となり、「適格請求書=インボイス」を発行しなければ、取引先である課税業者が消費税を実質2倍(自身の分+取引先である個人事業主の分)支払うことになります。
↓
課税事業者は二重課税を避けるために、インボイス制度に登録しない個人事業主に対して
- 仕事依頼が出来なくなる
- あらかじめ消費税分(10%)相当を差し引いた金額で契約する
といった可能性が高くなります。
理由④ 2023年10月以降、石綿含有調査を資格保有者しかできなくなる
アスベスト(石綿)とは天然の鉱物繊維のことです。「低コスト」、「軽い」、「耐熱性に優れている」等、多くのメリットがあり、2005年頃までさまざまな建造物の、屋根・壁などさまざまな箇所に使われてきました。
しかし、アスベストを吸い込むと肺がんや悪性中皮腫のリスクが高まることが分かり、2006年9月より製造・使用が禁止※されました。
※0.1重量%を超えるアスベスト含有製品に関して禁止が適用された
ですが、現在でも2006年9月以前に建てられた家には、アスベストが使われている可能性があります。そこで、2006年9月以前に建てられた家の解体工事やリフォーム工事を行う際は、「アスベスト飛散防止」のために、アスベスト調査を行うことが義務化されています。
このアスベスト調査が2023年10月より強化され、特定の資格を持った人にしかできなくなります。資格を持った人に依頼する分、調査費用が大幅に高くなるので注意が必要です。
【善の外壁塗装】は自社でアスベスト調査ができるよう、早速、社長である森 正和とスタッフ3名が一般建築物石綿含有建材調査者の資格を取得しましたが、自社で対応したとしても諸々増える手間を考えると値上げをせざるを得ません。
アスベスト調査ができる資格例
- 一般建築物石綿含有建材調査者
- 特定建築物石綿含有建材調査者
- 一戸建て等石綿含有建材調査者
アスベスト調査に関する法改正の変遷
2006年9月 アスベストの製造・使用を禁止
2021年4月 アスベスト調査を義務化
これまであやふやな部分が多かったアスベスト調査に関して「調査方法」「届出」「調査結果の保管(3年間)」等が義務化されました。違反した場合の罰則も新設されています。
2022年4月 アスベストの事前調査結果の報告を義務化
一定規模以上の工事を行う場合、アスベスト含有建材の有無に関わらずアスベスト調査の結果を都道府県に報告することが義務化されました。
2023年10月 アスベスト調査が「特定の資格保有者」にしかできなくなる(ここが値上がりポイント!!)
これまで知識のある施工業者でも可能だったアスベスト調査が「特定の資格を持った人」にしかできなくなります。当然、調査費用は大幅に上がります。
アスベスト処分費用もUPする可能性がある
アスベストは飛散の危険性に合わせてレベル3〜1に分けられており、1が一番危険です。
- レベル1
発じん性が著しく高い。特別管理産業廃棄物扱い※ただし一般住宅はほぼ該当しない
- レベル2
発じん性が高い。特別管理産業廃棄物扱い扱い
- レベル3
発じん性が比較的低い。産業廃棄物扱い※施工業者でも処分可能
そして、レベル1、2は人々の健康や生活環境に被害を及ぼす可能性がある「特別管理産業廃棄物」に指定されているため、通常の施工業者が処分することができません。特定の業者に依頼して処分してもらう必要があります。
燃料費の値上がり等を考えると、この処分費用も今後値上がりする可能性が高いです。
まとめ
以下の4つの理由により、今後も住宅関連の施工費が高騰し続けることがお分かりいただけたと思います。
- 建設資材高騰(今後も継続)
- 燃料の高騰(今後も継続)
- 来年より、インボイス制度で職人の単価が上がる可能性がある
- 来年より、アスベスト調査の料金が上がる
どれも値上がり率が非常に高いのも特徴です。
全てを合算すると同じ施工内容でも、数十万円、規模によっては数百万円以上余計にかかることになります。
もちろん、「まだ不要な施工や、迷っている施工を何がなんでも急いでしよう」ということではありません。ただ、同じ施工するのに、金額だけ高くなるのは非常に勿体無いのも事実。
もし今のタイミングで施工を迷っていらっしゃる方がいましたら、何なりとお気軽にご相談ください。全ての状況を踏まえた上で、最善の方法をご提案いたします。